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Sunday「教えて!Dr.相談室 掲載記事 ⑧更年期の症状について」

2018年12月06日

おばさんのイラスト(中年女性)2【case】更年期の症状について

一般に、「更年期」とは、閉経の前後5年間を言います。日本人の平均閉経年齢は約50歳ですが、早い人は40歳台前半、遅い人は55歳近くで閉経を迎えます。閉経が近くなると卵巣機能が低下するため「月経不順」「経血量が少なくなる」などの月経異常を経験しますが、突然「無月経」となることもあります。更年期症状は多彩で程度も様々であることから、チェックシートに記入してもらい、治療前後の評価に利用します。

・血管運動神経系症状・・・ほてり・のぼせ・ホットフラッシュ・発汗・冷え・動悸・胸が締め付けられるような感じ・息切れ

・身体運動器官症状・・・ 肩こり・腰や背中の痛み・関節の痛み・しびれ・疲れやすい

・精神神経症状・・・めまい・頭痛・気分の落ち込み・意欲の低下・イライラ・情緒不安定・不眠・物忘れ

・皮膚・泌尿器科系・・・腟炎・外陰のかゆみ・性交痛・頻尿・残尿感・尿失禁

診断には「これらが他の病気による症状ではない」と確認することが重要です。子宮がん検診、超音波検査などの婦人科検診のほかに、血圧測定、検尿、心電図、女性ホルモン(工ストロゲン)が低下しているかどうかなどを調べます。成育歴や性格などの心理的因子、生活習慣やストレスなどの環境因子も関与しているため、詳細な問診も重要です。更年期障害の治療は大きく3つに分けられます。

ホルモン補充療法( HAT)・・・更年期障害の主な原因であるエストロゲンの低下を補う治療法です。ほてり・のぼせ・ホットフラッシュ・発汗など血管運動神経症状に特に有効ですが、その他の症状にも有効です。ただし、エストロゲン単独では子宮内膜増殖症のリスクが上昇するため「黄体ホルモン」を併用します(工ストロゲン・黄体ホルモン併用療法)。用いるホルモン剤には内服薬、貼り薬などがあり、投与法もさまざまです。経ロエストロゲン剤(内服薬)は肝臓で代謝されるため、肝障害、動脈硬化などのリスクが上がり、定期的に肝機能や凝固機能のチェックが必要です。一方、経皮工ストロゲン(貼り薬)ではこのような副作用は少ないですが「夏場は貼がれやすい」「同じ部位に続けて貼ると皮膚が赤くなる」などの欠点があります。HRTに関しては、まれな副作用が強調される傾向にありましたが、最近では「更年期にHRTを開始した人は心臓・血管の病気や骨粗鬆症などの疾患が予防できるという利点があり、見直され始めています。

漢方薬・・・漢方薬は全体的な心と体のバランスの乱れを回復させる働きを持ちます。多彩な症状を訴える方に対しては、「婦人科三大処方」とも呼ばれる当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸を中心に、比較的体力が低下しており冷え症で貧血、動悸がある方に対しては当帰芍薬散を、比較的体質虚弱で疲労しやすく、イライラ、不安・不眠などの精神症状が主体の方に対しては加味逍遥散を、体力中等度以上でのぼせ傾向にあり、下腹部に抵抗・圧痛を訴える方に対しては桂枝茯苓丸を処方します。加えて、黄連解毒湯、桃核承気湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、女神散、釣藤散、帰脾湯、酸棗仁湯などを症状に応じて使用します。

眠剤、向精神薬・・・精神症状が漢方で改善しない場合には、抗うつ薬・抗不安薬・短時間作用型眠剤など一時的に使用します。選択的セロトニン再取り込み阻害薬( SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬( SNRI)などの新規抗うつ薬は副作用も少なく、ほてり・発汗など血管の拡張と放熱に関係する症状にも有効であることか知られています。

教えてドクター (更年期).pdf

(2018年12月 掲載)

                                                                 

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