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Dr.村尾 「私のお勧め 第1回」

2017年05月06日

育児の生理学.jpg

「改訂版・育児の生理学=医学から説く科学的育児論=  瀬江千史著  現代社」

先日の外来で、ある妊婦さんから「生まれてくる子供がアトピーにならないようにするには、妊娠中にどういう事柄に気を付けたらよいでしょうか」という質問があったので、現代の医学界の主流の考え方ではない事を断った上で、この本の内容を紹介した事があります。

世の中にあまたの育児書がある中で、何故にこの本を推すのか、といいますと、瀬江千史氏の手になる
著作だからです。知る人ぞ知る医学理論の巨匠・瀬江氏は、歴史上初めて弁証法的唯物論の立場から
医学本質論を明らかにした医師で、薄井坦子氏が看護理論の世界で成し遂げたことを医学の世界で成し遂げた人物です。

前書きから引用:
「育児の具体的問題を『本質論』『構造論』『現象論』をふまえて体系的に説くところの『学問的方法論』を用いながらもお母さんの立場を考えて一般的にまたやさしく説いたものであり、そこには、やさしく説いてあるとはいえ、きちんと『科学としての学問的論理性』が貫かれています。」

でも決して難解な本ではありません。「新生児の目はいつから見えるか」「アトピー性皮膚炎とは何か」
「カゼとはどんな病気か」「オネショはどう対応すればよいか」といたごくありふれた質問に対して、
一つ一つ親切に回答する事を通じて、個々の親が直面している問題を解いていくための「導きの糸」ともいえる
「育児の指針」が提示されてゆきます。

Q&A方式で多数の育児の質問に答えた後は、日本の育児界では高名な松田道雄氏の育児論を批判したり、
三重苦(全盲、聾唖)から獣のような暴れん坊だった小児時代のヘレン・ケラーを、劇的に変貌させた育児を描いた映画「奇跡の人」(1962年)を紹介して、「このいわゆる『奇跡の人』とは、ヘレン・ケラーではなく、アン・サリバン先生だとわからなければなりません」との解説が披露されたりもします。

これだけ卓越した育児書でありながら、出版社が零細企業で全く宣伝しないせいか、ほとんど世に知られていないのは実にもったいない話ですなあ。

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